広尾学園のICTカンファレンス 〜パネルディスカッション編〜
昨日の続きを書く前に、iPhoneのニュースサイトで頻繁に目に入ってくるネパールの大地震の被害状況について。
25日に発生してから刻々と深刻な被害が明らかになっていき、そしてその事態の深刻さが増していっている状況にとても胸が痛む。
昔はテレビのニュースや新聞、ラジオからの情報を待つしかなかったけれど、今の時代は情報を得ようと思えばいろいろな手立てがある。そして受信するだけでなく、世界に向けて自ら発信することもたやすい。
だからこそ、デマの拡散に関わらないように気をつけつつ、個人であってもいろいろな支援に関われるということを意識して、被害に遭われた人たちのことを気にかけていきたい。
さて、
昨年秋に訪れた、広尾学園のICTカンファレンス。午前は公開授業。午後は広い会場で先生方のパネルディスカッション。
先生方の話はとても刺激的かつ魅力的で、特に次のような言葉が印象に残った。
・ICT機器を持つことで、個人の興味を超え、教科書以上の情報に触れることができる。やる気や意欲、好奇心や探究心が向上する。
・教育界にICTが導入される意味とは、ガラパゴス化した停滞気味の教育にエネルギーが注がれ、教育の本質に近づくということ。
・知識や技術を教えるつもりはない(今後覆ることもあるから)。答えを知らないものにどうアプローチすると良いかを学ぶことが大切。ICTや英語はそのためのツール。
・これからは教育の内容と質を考える時代。
下の板からもわかるように、とにかく熱い思いがほとばしっていた先生方。自分のメモ書きを見ながら思い起こしているので、言葉足らずで不正確な内容が含まれているかもしれないけれど、
「習うから学ぶへ」「ICTをいかに創造の武器にするか」ということに力が注がれていることがよくわかった。
ちなみに、コースによって生徒の持つ 「ICT機器」 は、MacBookだったり、iPadだったり、chromebookだったりする。
こういったICT機器に加えて、Googleドライブ、ムードル (Moodle) といったオープンソースのeラーニングプラットフォーム、非営利の教育Webサイトである、カーンアカデミーなど、先生方は様々なツールをご存知で、積極的に活用しているようだった。
改めて、これまでの「上から下へ」、「少数が多数を教える」といった教育のあり方が、ICTの導入によって変わっていっていると肌で感じる。
でも、例えば国や政治家に任せておけば安心だといった「権力者ともの言わぬ庶民」といった関係は、東日本大震災をきっかけに、多くの人の中で崩れたのではないかと思う。
国からの情報を待つことからツイッターで流れてくる情報を元に行動したり、
自らの状況をツイッターで不特定多数に伝え、権力機関が動いたりというケースもあった。
広尾学園ICTカンファレンスの午後のパネルディスカッションでは、生徒さんも登場し、所有するICT機器の使い道や、メリットやデメリットを率直に語ってくれた。
・演劇部の活動では、演じている様子をiPadで撮り、みんなでチェックし合えるのが良い。
・場所を問わず議論でき、意見がもらえるのが良い。
・自宅でICT機器を使っていると、ふとYouTubeを見てしまったり、様々な誘惑に負けやすい。自己管理の必要性を感じる。
・ICT機器があるからこそ、リアルなコミュニケーションが大切だと思うようになった。
どの生徒さんも、先生方の熱い思いや、何のために自分たちにICT機器が提供されているのかということをよく理解している。
冒頭で先生が述べていた「教育の本質」とは何だろう、と改めて思う。
子どもが小さい時は、ディスプレイ越しではなく、自分の目で、鼻で、耳で、全身で様々な体験をしてほしい。
たとえば、映像で見る「花火」と、実際に花火を見たり、したりするのとではまるで違う。
そして、検索すれば、何らかの「答え」が得られるのがインターネットの世界だけれど、世の中にはすぐに答えの出ないもの、複数の答えが考えられるものの方が遥かに多い。
たとえば、もう取り返しがつかないけれど、あの時自分はどうすべきだったのだろうかと考えたり、なぜあの人はあのタイミングであのような発言をしたのだろうかと疑問に思ったり。
なので、これからは前回書いた、ヒューマニティーズの学びがもっと重要になると思う。
というより、
五感を使って感じること、目に見えないこと、を貴いことと捉え、大事にしたい……
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